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Moon Creative Lab インタビュー

プレジデント兼CEO 横山賀一氏
チーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO) マイク・ペン氏

デザインの力を実践し、そのインパクトを我々も実感したプロジェクトでした。


Moon Creative Lab
(以下、Moon)は、2018年8月、三井物産グループ46,000人の社員や組織のアイデアから新規事業を創出するイノベーション・ラボとして設立。IDEOはその立ち上げからビジョン策定、ブランディング、仕組み作りと個別プロジェクト育成などをサポートしてきました。

-- Moonが生まれた背景について教えてください。

横山氏:三井物産は、元来様々なビジネスを創出してきた長い歴史があります。最近は、主に新たな投資先を見つけて事業を買収し、バリューアップするビジネスが主流になってきており、今や世界に500社を超える関係会社を持つ巨大コングロマリットとなっています。

こうした中で、3年前、2030年を見据えた三井物産のあり方を描く機会がありました。その中でハイライトした大きなテーマは、改めて「ゼロ→イチを創ろう」ということ。

今、世の中は目まぐるしく変化し、10年前には想像できなかった商品やサービスが次々と出てきています。また、今三井物産が抱えている事業が30年後も安泰とは限らない。こうした時代においては、もはや流れを予想するのではなく、「新しい潮流そのものを創っていこう」、というわけです。

これから三井物産が主体的にビジネスを創出していくための、新たな機能(人材)と環境(カルチャーや働き方)を提供するイノベーションラボとして、Moonを設立しました。

Moon Creative Lab CEO 横山賀一氏

-- Moonの本社をパロアルトに設立されました。このロケーションを選んだ理由は?

横山氏:実は、候補として中国やイスラエル、ヨーロッパも調査しました。しかし最終的に、シリコンバレーには、人とカルチャーという面で、三井物産が求めていたものが集まっていることが、決め手となりました。具体的には、ゼロイチを創る上で必要な「主体性」ーー 自分でビジネスを創り、ドライブしていくパワーに溢れる人たち、そしてそういう人を支えるエンジニアやデザイナーといった専門家などの優れた人材が集中していたことが大きかったと思います。

旧IDEO社屋をリノベーションして作られたMoon 本社。IDEOの環境デザイナーが空間設計を手掛けた。

-- IDEOをコラボレーションパートナーに選んだ理由を教えてください。

横山氏:デザイン思考の本などを前から読んでいて、いつかIDEOと仕事がしたいなあとは漠然と思っていました。

数年前、三井物産の新本社のデザインの相談のために、同僚がIDEOの野々村健一氏と話をすることになっていて、私も参加したんですね。その時、最後に彼を呼び止め、「実はこんな(Moonの)構想があるんだけど、何か一緒にできないかな」と持ちかけたのがきっかけでした。並行して様々なファームに会いましたが、野々村氏やMikeはじめ、IDEOの人たちの人間的魅力、感性に惹かれ、一緒に事業をやりたい、と思ったのが一番の理由です。

-- Mikeは、IDEOのメンバーとしてこのプロジェクト立ち上げに尽力し、今月からMoonのCCOに就任しました。初めてMoonの計画について聞いたときの印象は?

Mike:正直、初めて計画を聞いた時は、「またよくあるシリコンバレーにラボを創りたがる日本企業かな」と思っていました。しかし、横山さんたちと対話を重ねる中で、その先入観は払拭されました。

中でも印象に残っているのは、この試みは1,2年で成果を測るものではなく、5年から10年かけて結果を出していこうとしている、ということ。日本企業によくある新規事業の失敗談は、あまりリソースも割かずに1,2年で黒字化を目指すケースです。イノベーションは、そんな短期間では起こりません。

三井物産の会長とCEOを筆頭に、経営陣が相当な覚悟の元にこの取り組みを全面的にサポートしている様子を見て、これは今まで聞いた他の計画とは一線を画すものだ、と確信しました。Moonは、本気で新規事業創出のエコシステムを変えようとしていると感じたのです。

また、デザインやクリエイティビティの力を、Moonのチームメンバーが強く信じていることに、とてもワクワクしました。

Moon Creative Lab CCO マイク・ペン氏

-- MoonとIDEOの最初の協働プロジェクトについて教えてください。

Mike:まずはじめに、”Purpose Project”と言って、組織の目的やビジョンについて策定するプロジェクトをやったのですが、すぐに気づいたのは、Moonは既に目的は明確で、今後もそれが変わることはないということ。ただ、その価値をどう明確に世の中に伝え、人々をワクワクさせるか、というブランディングやコミュニケーション、ミッションステートメントを考えることが課題でした。

Moonのイメージは、三井物産とはちょっと異質なものを目指しています。遊び心があって、ちょっと突飛で、ユニーク。こうしたイメージと、まだモノクロだったチームの構想、目指すビジョンや目的をひとつのブランドとして表現する方法を模索しました。

Moon 東京オフィスにて、チームとPurpose Projectに臨むIDEOメンバーたち。

-- 横山さんにとって、この”Purpose Project” はどのような意義がありましたか?

横山氏:まさに、デザインの力を実践し、そのインパクトを我々も実感した一つ目のプロジェクトでした。私はそれまで経営企画部におり、数字と文章でROIを伝えるのは得意だったんです。でも、Moonの未来に向けた計画を世の中に伝えるのは、決して容易ではないと思っていた。

でも、あのようにロゴ、ミッションステートメント、ウェブサイト、コンセプトムービーなどを作り、私たちの情熱、エネルギー、想い、目的意識をビジュアライズすることで、物事を進める大きな力になりました。

当初は少し懐疑的だった当時の三井物産幹部の中にも、ムービーを見て感動し、社内中にMoonを宣伝してくれるような人が出てきたんですね。デザインの力を証明し、みんなをこのMoonという大きな船に乗せるきっかけとなった、非常によいプロジェクトだったと思います。

また、厳格なカルチャーの三井物産社員にも、もっと肩の力を抜いて、遊び心や個性を出していいんだ、という”許可感”を感じてもらうきっかけになりました。今や男女共にドレスコードがなくなり、Tシャツも含め、自分の業務にふさわしいものを自分で判断して身に着けるように、と社則も変わったくらいです。

Moon Creative Labのコンセプトムービー

-- MikeがMoonにCCOとして参画することを決めた理由を聞かせてください。

Mike:私は14年間、IDEOと共に成長してきました。ゆえに、離れる時は、自分が心の底から信じられるものと出会ったときだと思っていました。

10年前の立ち上げから関わったIDEO Tokyoの変わらないミッションは、「デザインとクリエイティビティの力で、日本の変化を促し、加速させる」こと。私はこのミッションに強い信念があるのですが、Moonも同じことを目指しています。私はこれまでコンサルタントとして14年間、数多くの企業をサポートしてきましたが、その中で得た学びを活かし、志を共有するMoonという事業創出の当事者として、全力で目的達成にコミットしたいと思ったのです。なぜなら、Moonが成功することで、三井物産という巨大な組織に変化がもたらされ、日本全体にポジティブな変化が波及していくと信じているからです。

-- 発足から2年経った今、Moonはどのような場所にいると思いますか。

横山氏:準備期間を経て、今やっと離陸準備が整った、というところです。目下最大のチャレンジは、三井物産グループの社員4万6000人に、Moonの存在について正しく知ってもらうこと。今の三井物産は、貿易のプロと、投資家の集まりです。その人たちに、これからは主体的に、そして組織として「ゼロイチを創る」という試みを実践する場としてMoonがあることを、周知していくことですね。

-- 今後の展望、IDEOとの関係に期待することについて教えてください。

横山氏:三井物産の組織と社員を巻き込んで新しい事業を創出していくことはもちろんですが、Moon発の新規ビジネスも育てていきたいです。今後成功事例を作っていく中で、いずれ、Moonのやっている仕組みそのものが、日本の事業創出の新しいエコシステムになることを目指しています。

引き続き、IDEOのデザインの力のインパクトに期待すると共に、IDEOにとっても新たなビジネスモデルを模索する実験の場として、Moonを使ってもらいたいと思っています。

Mike:Moonは、西洋と日本の最も良いところを組み合わせて事業を創出できる組織だと思うので、こうした適性を活かして進化していくことが、とても楽しみです。また、Moonとして、ポジティブなインパクトを世に生み出すベンチャーを育てることをミッションとする中で、SDGsなどの今世界が抱えている複雑で大きな問題を解決するようなプロジェクトがいくつか出てきたら、とてもエキサイティングですね。

IDEOは、Moonの礎を共に作ってくれました。Moonがこれから次の成長ステージに進む中で、この関係性をどのように双方にとって有益な形で発展させていけるか、模索して行けたらいいなと思います。



IDEOからのコメント

初めて横山さんとお話をさせて頂いてから数ヶ月、ディスカッションを重ねる中でMoonの輪郭が見え始めた時、非常にワクワクしたのを覚えています。
「ラボ」とつく名の組織は近年増えていますが、日本発で、ここまでコミットメントの高いイニシアティブは稀です。このMoonという新しい組織をデザインする上では、スピード感や、実験を繰り返すことといったIDEOのアプローチを大切にしましたが、それらを共有できるアントレプレナーシップ溢れるチームをサポートするプロセスは、とてもエキサイティングでした。
「ゼロイチ」をつくる人々、組織を日本でもっともっと増やしていくことは、IDEO Tokyoのミッションです。これからも、Moonのような社会にポジティブなインパクトをもたらす可能性に溢れる組織を生み出す一助となれたらと思います。

ー IDEO Tokyo エグゼクティブ・ディレクター 野々村 健一 

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