Argentina just made driving licences digital

Public Digitalがアルゼンチンの運転免許をデジタル化

この記事はIDEOと同じkyuグループに属するPublic Digitalのブログエントリーを翻訳しています。IDEOはPublic DigitalとPrivate Sectorの業務において提携しています。

アルゼンチン政府は、これまでの紙とプラスチックのカードに代わり、ユーザーのスマートフォンにデジタル文書を安全に保存する新しいデジタル自動車運転免許証の導入を発表しました。このサービスはわずか65日で、一から開発されたものです。

Public Digitalでは2年前から、アルゼンチンのデジタル・チームとの連携を行っています。2018年6月には、それまでにPublic Digitalがアルゼンチン政府と実施したDXについて記事でご紹介しました。その要点は次のとおりです。

  • 政府ウェブサイトのドメインを新たにargentina.gob.arへと一本化

  • 1,000ページを超える旧ウェブサイトを閉鎖

  • 780を超える対事業所サービスを変革

  • サービス提供プラットフォームMiArgentinaの開発

この最後の項目にあるMiArgentinaこそ、新しいデジタル運転免許証の肝となるプラットフォームです。iOSとAndroidのスマートフォンにダウンロードできるMiArgentinaアプリは、政府系のデジタル文書を格納する収納庫の役割を果たし、市民はこれを使うことで、自分の身分証明書や障害者手帳、予防接種証明書、車両保険証、そして新たに運転免許証のデジタル版を保存できるようになりました。

かつて、アルゼンチンで運転免許証を取得するためには、官庁まで足を運ばねばなりませんでした。しかも、免許証は標準化されていなかったため、州によって取得のプロセスや料金に若干の違いがありました。最初の免許取得には15日かかりました。2008年からは、簡素化と標準化のプログラムが進められています。依然として官庁に赴く必要はあるものの、オンラインで予約が取れるようにはなっています。

今回、新しくMiArgentinaが統合されたことで、ユーザーはメールアドレスと、労働者番号(CUIL)を使って、電話で免許証の申請を行えるようになりました。申請者はそこで、携帯電話で撮影した写真で生体認証用のバックアップを提供し、カメラの前で特定の動きをするよう求められ登録が進められます。

このような施策が可能になったのは、ユーザー調査からの学びを重視し、まずは行動を起こしていったデジタル政府担当次官(下記で詳述)と、それをサポートしたデジタルチーム、そしてその動き全体を正式決裁をした担当大臣の存在があったからです。いわゆる典型的な「政策立案」からスタートしたわけではなかったということです。

今回の新しいデジタル免許証は、最大で1,900万人に普及し、少なくとも年額1,200万ドルの節約が生じるものと見られています(段階的廃止が決まっているプラスチック・カード免許の転換を行わなかった場合に発生したはずの費用に相当)。

プラットフォームによって可能に

これほどの速さで実現にこぎつけたことは、まさに画期的でした。このサービスを構築する決定が下されたのは、2018年10月末のことだったからです。

このスピードが可能になったのも、MiArgentinaがすでに導入され、必須のデジタルインフラや通知システムを提供するとともに、本人確認が済んでいるアクティブ・ユーザー120万人を抱えていたからです。

さらに印象深いことに、チリとウルグアイの政府も、同じデジタル免許証の利用に向けた準備を行っています。両国で頻繁に運転をするアルゼンチン人が多いからです。越境サービスはヨーロッパの特権ではありません。

大きな出来事

これはアルゼンチンや南米だけでなく、世界的に見ても大きな出来事です。アルゼンチン政府は、プラットフォームとユーザー中心のデザインを通じたデジタル・サービスの提供に真剣に取り組んでいます。そして、猛烈なスピードで前進しています。これに関するアルゼンチンの全国紙「ラ・ナシオン」の記事はこちら英訳はこちらをご覧ください。

発表はゴールデンタイムのテレビ番組でも報道


最近まで近代化大臣を務め、この取り組みのそもそものきっかけを作ったアンドレアス・イバーラ内閣官房副長官と、その上司として、既存の紙ベース・サービス全体のデジタル化という大胆なビジョンを掲げているマクリ大統領にお祝いを申し上げます。アルゼンチンでは、年内に選挙が行われます。デジタル政府サービスが選挙キャンペーンに何らかの影響を及ぼすかどうか、注目に値します。

上記でデジタル政府担当次官のことについて触れました。それがダニエル・アバディエ氏、私たちがこの2年間で最も密接に連携した政府高官です。ダニエルは素晴らしいリーダーで、私たちは一緒に仕事ができたことを嬉しく思っています。 彼とそのチームには特別の祝福を送るとともに、この次に何ができ上がるのかを楽しみにしています。

この記事はPublic Digitalのブログの内容を翻訳しています。

Feb 2019


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