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デジタル・セラピューティクスは医療に革命を起こせるか?

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Apr 27 2022

デジタルヘルスの次の時代が到来し、拡大しています。そう遠くない将来、慢性閉塞性肺疾患の患者は、薬や吸入器の使用を監視し、容態急変を予防するセンサーを装着することができるようになるでしょう。臨床うつ病に苦しむ人々は、薬の代わりにアプリを使った治療プログラムを処方されるかもしれません。

デジタル・セラピューティクスとは、一般的なトラッキングデバイスや数値化された自己診断アプリのことではなく、特定の病状を予防、管理、治療するために臨床的に検証され、公式に規制された製品のことです。これらの新しい治療法は、医師によって処方され、保険の保証対象となり、患者が従来の薬や処置に頼るだけの状態から脱するための方法として使用される可能性があります。デジタル・セラピューティクスは、これまでとはまったく異なる患者体験のビジョンを提供し、医療を再定義する機会であり、まったく新しいビジネスモデルを開拓するための原動力となるものです。

デジタル・セラピューティクスの世界市場は、現在18億ドルと推定されていますが、2025年には71億ドルに達すると予測されています。こうした成長の多くは従来の製薬会社からの投資によってもたらされると予想されていますが、テックやスタートアップの世界からも、デジタル・セラピューティクスへの参入を期待する新しいプレーヤーも登場しています。慢性疾患を管理するための行動変容プログラムを作成するオマダヘルス社は、何十万人もの患者がパーソナル・コーチングを受けることで、自分を見てもらい、話を聞いてもらったと感じられるようになったといいます。Click Therapeuticsは、禁煙をサポートし、成人の大うつ病性障害に対応するソフトウェアを開発しています。瞑想アプリのHeadspaceは、100万人以上の人々が瞑想を日常生活に取り入れることのきっかけとなり、健康への効果を実証しています。

これらの企業は、慢性疾患や精神疾患、その他増加しつつある診断の中核となる厄介な問題に患者が取り組むのを支援する、革新的な新しいアプローチを明らかにしつつあります。そしてその過程で、これまで存在していなかった新たな成長市場を生み出しているのです。

近い将来、これらのデジタル製品が、患者の心臓病や糖尿病、体重を心配する医師によって処方される日が来るかもしれません。もしテスラが、最も危険なドライバーであっても交通事故の減少を臨床的に証明するソフトウェアをリリースしたら、それはデジタル・セラピューティクスとして認められるでしょうか?私たちは、この産業の未来を想像し、デザインし始めたばかりなのです。

しかし、これらの製品は、「いかにして人々に実際に使ってもらうか」という、昔からの課題に直面しています。もし、患者さんがその体験を気に入り、信頼し、長期間にわたって利用し続けることができなければ、これらの治療法や製品の多くは失敗に終わるでしょう。

新しいアプローチは、現実の人々のニーズから始まります。そのニーズに沿ってプロダクトを生むにあたり、人々にとって望ましいだけでなく、実行可能なビジネスモデルを考える必要があるのです。IDEOのこの分野での経験から、患者や市場を巻き込むデジタル治療薬をデザインするための4つの大きなヒントをご紹介します。


競合他社のレポートは一回忘れる

科学や医療におけるイノベーションは漸進的なものになりがちですが、他の産業に目を向けることで、より根本的な変革の機会を見出すことが可能です。アナロガス体験(サービスや製品など、関連性はあるが全く同じではない他業界のもの)を研究することで、どのような体験が患者に意味や喜び、価値を与えるのかが明らかになるのです。

バイオテクノロジー業界のとあるクライアントは、最近、糖尿病患者の管理を支援する初のデジタル・セラピューティクスを発売しました。ところがこの製品を試験的に導入したところ、大きな問題に直面しました。患者さんが、自宅で使用する検査機器をスマートフォンのブルートゥースに接続するのに苦労していたのです。ここを乗り越えないと、体験がバラバラになってしまいます。

そこで私たちは、競合他社の機器をすべて購入して、他社がどのような解決策を導入しているのかを確認する代わりに、IKEA、社交ダンスの講師、ピアノの先生、NASAと宇宙船の通信担当者など、複雑な内容をわかりやすく指示するのが得意な組織をリストアップして、ブレインストーミングを行いました。その中で、レゴが初めてBluetooth接続の玩具を開発し、小さな子供でも簡単に操作できる取扱説明書を作成していることを発見しました。レゴに触発され、チームは新しい取扱説明書を作成しました。この説明書を患者さんが機器を使い始めるプロセスに組み込むと、ほぼすべての人が医療機器と携帯電話を接続できるようになりました。

患者さんを優先する

患者さんよりも保険者や医療機関のニーズを優先させてしまう罠に陥ることは多々あります。結局のところ、デジタル・セラピューティクスが保険でカバーされなければ、根本的なビジネスは成功しないかもしれませんし、医師がそれを処方できるほどよく理解していなければ、企業は市場シェアを拡大することができません。これらはパズルの重要なピースですが、新しいデジタルヘルス・ベンチャーの基本的な懸念事項である、「患者さんの生活に治療法を適合させる」ことの後に来るものでなければなりません。

デザインの初期段階において、私たちはユーザーリサーチによって無数の可能性をひらめきます。ユーザーリサーチは、ビジネスモデルを決定し、市場投入までの道のりを明確にするのに役立ち、また、他の製品機能にもつながる可能性があります。

これは実際にどのようなものなのでしょうか。デジタル・メンタルヘルス企業であるHeadspaceを考えてみましょう。Headspaceは、瞑想の基本を教えるためにデザインされ、時間をかけて実践と継続を促すような体験に人々を引き込みます。当初、Headspaceは仮想バッジやソーシャルメディア上の競争のようなインセンティブを中心に据えていましたが、徐々に最も深い動機は心の健康そのものであることを理解するようになりました。Headspaceは瞑想者になぜ瞑想するのかを思い出すように促し、瞑想することによって誰の人生がより良くなるのかを尋ねました。このように、一貫して内省と自覚を促すことで、全体的なエンゲージメントが高まったのです。

Headspaceの人気は、同社を年間1億ドルの収益と100万人以上の加入者へと飛躍させました。同社が人々に愛される体験をデザインすると、加入者は製品を受け入れ、Facebookグループやミートアップ、イベントなどを自ら主催するようになったのです。その後、Headspaceは医療業界におけるパートナーシップを確立し、プロバイダー、保険者、規制当局のニーズと要件に適応しています。今日、Headspaceは世界中の350以上の大企業の従業員に提供される福利厚生であり、世界中のプロバイダーや医療機関が患者に提供しています。もしあなたが患者に愛される効果的な製品をデザインすれば、医療システムのプレーヤーはその製品へのアクセスを提供するインセンティブを得ることができるのです。

エクストリームなユーザー(患者)とともにデザインする

エクストリーム・ユーザーのためにデザインすることは、製品を使用する可能性のある幅広い人々を照らし出します。IDEOの初期の頃、高齢者、関節炎患者、運動能力の低い子供たちも使えるアイスクリームスクープやピザスライサーなどの物理的な製品をデザインしたときに、このことが最も明確にわかりました。私たちは、これらの人々が使用できるものを作ることになりましたが、そうすることで、普遍的なユーザー体験を開発することができたのです。この製品デザインは競合他社を凌駕し、消費者のトップチョイスとなりました。

デジタル・セラピューティクスの世界では、デジタル技術の使用経験が少ない患者さんのためにデザインしたり、複数の慢性疾患を抱えていたり、医療へのアクセスに大きな障壁がある患者さんに焦点を当てたりすることが、このアプローチに含まれるでしょう。このような患者さんのためのデザインを考えることで、より公平でインクルーシブな治療体験の形成に貢献することができます。

私たちが手がけた最も困難なデジタル・セラピューティクスのプロジェクトのひとつに、アプリを使ったうつ病の治療体験があります。ロッキー山脈の片田舎にある孤立したコミュニティで、最も近い隣人から40マイル離れた場所に住むカウボーイ兼牧場主であるダンに出会いました。ダンは、大人になってからもうつ病に悩まされていました。天気の良い日は、ベッドから出るのも一苦労。辛い日には、自殺願望に悩まされました。

ダンに話を聞く前、私たちは患者さんたちが継続してアプリを利用できるように、オフラインでのアクセスや、通信速度の低い状況での高速ダウンロードの実現など、技術的な特徴をすべて検討していました。しかし、ダンと話すうちに、解決すべき最大の問題は技術的な課題ではないことが明らかになりました。人口の多い地域でも、うつ病は孤立しがちなのです。ダンは、彼でも毎日通いたくなるようなデジタルツールを共同でデザインするのを手伝ってくれました。デジタル・セラピューティクスが提供できる重要な機能のひとつは、現実の他者とのつながりであり、助けを受けるだけでなく、与える機会でもあるのです。私たちは、ダンの話を参考に、うつ病を患う人々が互いにつながり、支援者、指導者、賛同者として関わっていけるような体験をデザインしました。

1000個のプロトタイプを立ち上げる

今日、医療イノベーションが直面している最大の課題の1つは、人々が何をどのように望んでいるかを本当に把握する前に、ソリューションを用意する必要があるという考えです。この業界はそのようにできています。資金提供者に何を実行しようとしているのか正確に伝えずに助成金申請書を書いたり、製薬会社で詳細な計画や予想されるROIを示さずに予算を配分したりすることはないでしょう。

デジタル・セラピューティクスでは、そういったしがらみから解放されています。私たちの仕事は、できる限り多くのアイデアを出し、何が実際に役立つかを検証することです。また、プロトタイプに対する患者さんの意見は、安全で配慮の行き届いた方法で無数に活用することができます。

最近では、パーキンソン病などの運動障害に伴う震えを抑えるためのデジタル・セラピューティクスに取り組みました。重篤な副作用があることが知られている内服薬に頼る典型的な治療法ではなく、震えを鎮める脳の部分に狙いを定めた電気パルスを供給するソフトウェアとハードウェアシステムに取り組むことが課題でした。私たちはまず、パーキンソン病を患う患者さんにとって、何が受け入れやすく、使いやすく、魅力的なのかについて、長い質問リストを作成しました。

実際に患者さんにインタビューしてみると、彼らは自分の健康にとって重要なデジタル機器に毎日頼ることがどのようなことなのか、まったく想像がついていないことに気づきました。彼らは、治療の内部構造に興味を持ち、技術やロジスティクス、また哲学的な意味合いについて質問してきました。

私たちが最初に作ったプロトタイプは、患者さんが身につけて充電するための帽子やヘッドバンド、枕など12種類でした。また、AlexaのアドオンからiPhoneアプリまで、デジタル・インタラクションを多数プロトタイプ化しました。生体モニターデータを活用するために、患者、医療従事者、介護者が神経学的に何が起こっているかを理解するのに役立つダッシュボード、エクスポート、コミュニケーションポータルも多数作成しました。

これらのアイデアの多くは失敗に終わりましたが、私たちが学んだことは貴重なものでした。たとえば、Alexaを使う定年退職者が増えているにもかかわらず、患者の多くはこのような重要なタスクを音声制御のアプリに任せられないことがわかりました。また、人が装着する必要のあるヘッドギアは、恥ずかしい気持ちにさせたり、魅力を感じさせなかったり、萎縮させたりしやすいこともわかりました。最も重要な発見のひとつは、充電の速度ではなく、充電中に何かできることの方が大切であることです。例えば、洗濯物をたたみ、好きなテレビ番組を見て、庭の草むしりをしながら、という「ながら」がサポートされた充電である、ということです。最終的に、私たちは100ものプロトタイプをデザインし、体験を形作る主要な価値提案、機能、ユーザビリティの基準に到達しました。

すべてを結びつける

Click TherapeuticsやHead Spaceのような画期的な製品や体験は、すべて上記のフレームワークと一致しています。しかし、はっきりさせたいのは、彼らが成功したのはエンゲージメントを高める特効薬や行動経済学の最高の理論を持っているからではないことです。彼らが市場をリードしているのは、ユーザーに焦点を当て、彼らが発見したことに基づいて製品をデザインしているからなのです。その結果、人々に愛される製品を生み出し、瞬く間に成功を収めました。この方程式は、デジタル・セラピューティクスだけでなく、ユーザーに日常生活で使ってもらえるような製品を開発する際にも応用することができるでしょう。

Illustrations by Nien-Ken Alec Lu.

  • Conor Farese

    Senior Business Designer
    Conor Farese helps companies think critically and creatively about their businesses, and helps translate new ideas and products into reality. Conor brings his expertise in business design to IDEO’s work in health, contributing to projects spanning from creating new models for value-based care to envisioning the latest digital therapeutics.
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