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Purpose Wheel - 組織のパーパス・ステートメントをデザインするためのツール

Feb 9, 2022

大家族で一緒に何かをしようとしたことがある人なら、大人数の意見をまとめることがいかに難しいか分かるだろう。どこにバカンスに行くのか。夕飯に何を食べるのか。誰を招くのか。どれをとっても、一筋縄では行かない。企業もまた、集団として同じような課題を抱えており、そこから組織内でさまざまな議論が立ち上がる。自分たちは組織として何を成し遂げたいのだろうか?自分たちが依って立つものは何なのだろう?利益を上げる以外に、どんな存在意義があるのだろう?

パーパスは新しい概念ではない。事実、IDEOを含め、誰もがどこでも、パーパスに導かれる組織の話をしている。しかし、顧客とグローバルなニーズ、企業の強み、従業員のやる気という三本柱の共通項がどこにあるのかを見つけることは、簡単なプロセスではない。夢を語る文章を書き綴り、壁に貼るだけだったら誰にでもできるが、最高の仕事をして、世界にインパクトを与えようという意識を組織に起こさせるとなると、話は全く違ってくる。

IDEOでは、パーパスで社員をリードしようしている企業や組織と関わることが多くある。実際にIDEOのとあるデザイナー2人は2019年の頭にそのようなクライアントと協業した。その会社はいくつかのグループ会社を持つ国際企業で、先見の明のあるCEOはその組織をパーパス主導型に変えたいと思っていた。彼は、傘下企業のリーダー全員にもパーパスをしっかりと掲げてほしいと考えていたため、私たちは手始めに、誰もがパーパスを考えられるような場を作ることにした。

私たちはマズローの欲求5段階説にヒントを得て、Purpose Wheelというパーパスを考える枠組みを作り出した。組織の大小、また、チームか個人かは関係ない。一緒に活動する人々がまず、「どんな風に世界にインパクトを与えられるのか?」という問いについてさまざまに思いを巡らせることができれば、目的意識が浮かび上がってくるだろうというのが、基本的な考え方だ。

Purpose Wheelは、先頭に立って事を進める人々が第一歩を踏み出す際に役立つ。将来的な目標に関する生産的な話し合いを促すとともに、最終的には組織のリーダー層が「存在意義」に対する答えにあたるステートメントを書き出す際、立ち返ることができる基盤を整備するためのツールだ。

家づくりが足場から始まるように、Purpose Wheelはあなたが言葉を紡ぐ前に、パーパス・ステートメントの下地となる意思・目的を練り上げるための助けとなる。そもそもPurspose Wheelは企業向けに設計したが、以下の4つのステップを使えば、組織の大小にかかわらず、企業以外の組織でもこの枠組みをうまく活用できるはずだ。

1. 中心から手を付ける

Purpose Wheelの中心では、企業や組織が世界にインパクトを与えうる5つの方法を示唆している。5つのそれぞれが「利益以外の存在意義は何か」という疑問に、違った形で答えるようになっている。

自分たちについて「利益以外の存在意義はどこにあるのか」を考えてみよう。その第一歩となるのは、直観で予測を立ててみること。自分たちはどの立ち位置にあると思えるだろうか。例えばインパクトの内容別に大まかに企業を整理すると以下のようになる(記事が作成された2019年の企業情報をベースに作成しています。)

  • 私たちが存在する理由は、可能性を広げることにある。
    より大きな可能性を喚起することで、インパクトを作り出す。(Tesla、Nike)。

  • 私たちが存在する理由は、軋轢を減らすことにある。
    簡素化し、障壁をなくすことで、インパクトを作り出す(Google、Spotify)。

  • 私たちが存在する理由は、豊かさを育てることにある。
    他者の成功をサポートすることで、インパクトを作り出す(Pampers、Warby Parker)。

  • 私たちが存在する理由は、探索を促すことにある。
    発見を支えることで、インパクトを作り出す(Airbnb、Adobe)。

  • 私たちが存在する理由は、喜びを生み出すにある。
    嬉しい気持ちにさせることで、インパクトを作り出す(Dove、Zappos)。

2. ひと回りする

存在理由を一つだけ選んで、そこに全員の意識を集中させればよいというわけではない。むしろ、あなた達の組織が5つのそれぞれでインパクトを及ぼす様子を想像することが重要となる。たとえ実現が難しく思えたとしても、そのインパクトが現時点、そして将来的にどのような姿になっているのかを話し合ってみることが目標だ。

この段階では、次のような問いを立てると良いだろう。

  • そのインパクトを実現するためには、どのようなアクションや振舞いが必要になり、どのような体験を作り出していくことが必要となるか?

  • そのインパクトは、あなた達の文化にどのような着想を与えうるか?

  • そのインパクトは、あなた達のビジネス決定のやり方をどのように変えうるか?

5種類のインパクトを全て試してから、あなた達の事業戦略や長期的ビジョンにそぐわないものを排除できれば、フォーカスすべき点が浮かび上がってくる。

もし一つの方向性に絞ることが難しいと感じても、仕方ない。パーパスとは、つかみどころのないものでもある。具体例として、PatagoniaとThe North Faceというパーパス主導型の企業2社を取り上げてみよう。パーパスがブランドと強く結びついているため、同じような商品を売っている2社を比べても、パーパスの現れ方が大きく違うことが分かる。

Patagonia:私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む

The North Face: お客様がアウトドアで自分の限界に挑戦できるよう、私たちはイノベーションとデザインの限界に挑戦しています。

Purpose Wheelに当てはめてみると、Patagoniaは「可能性を広げる」ことに当たり、The North Faceのそれは「探索を促す」ことに当たると言える。

3. 「How (方法)」について考える

Purpose Wheelの中心部での立ち位置が決まったら、外円に進む。ここでの話し合いのテーマは「方法」。つまりあなた達がどのようにインパクトを生み出すのかということだ。外円部分は全ての方法を示すものではなく、また、一つの正解が見つかるとも限らない。


外円部分の目的は、想像力を働かせて、あなた達がどのような形でインパクトを及ぼしうるのかについて考えるよう仕向けることにある。この部分を使えば「当社の存在意義は、(外円部分)を通じて(内円部分)し、社会を良くできるインパクトを与えることにある」という形で、パーパス・ステートメントの策定に取り組めるはずだ。

4. 全方位検証を行う

トップマネジメントから現場まで、東から西まで、あらゆる社員の立場にたって、あなた達の組織にこれを当てはめてみよう。話し合いの機会を持って、次のような問いを投げかけてみる。このパーパスの枠組みを現時点で自分の仕事に当てはめてみたら、どうなるか?社員として、自分のどのような能力が引き出されることになるだろうか?

Purpose Wheel実践ワークシートのダウンロードは、こちらから。

Purpose Wheelのさまざまなアングルから、あなた達にとってパーパスがどのように見えるのかを深く考えれば、実りある話し合いが生まれ、パーパス策定について新しい合意が生まれる可能性がある。あとはそれを書き出してみましょう。

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